今日は、前回のブログで紹介できなかったイベント内容についてです。
「巣探し及び掘り取り講習会」と銘打たれたこのイベントは、クロスズメバチの巣を見つけて採集するのが目的です。
ここでクロスズメバチについて簡単に説明しておきます。
彼らは名前のとおりスズメバチの仲間ですが、イメージする「黄色と黒のシマ模様で大きくて狂暴なハチ」とはちょっと違います。
色は黒をベースに白い線がはいるシックなカラーリングで、大きさもミツバチぐらいしかない小型種です。
性質もキイロスズメバチなんかと比べるとかなり温和で、人に対して危険度の低いハチといえます。
とはいえ毒針を持つスズメバチの仲間です。怒らせると刺されますのであしからず。
巣はオオスズメバチと同じく土中営巣が大半です。
(過去の駆除依頼では、天井断熱材の中、鳥の巣箱、逆さに置いた植木鉢の中などの例もありました)
民家に巣をつくるケースは稀ですし、大人しい性質もあってこのハチを知らない人も多いんじゃないでしょうか。
地方によって、タカブやヘボなどと呼ばれることもあります。
さて、そんなクロスズメバチの巣をどう見つけるか?
原理はとても簡単、巣に戻るハチをつける、です。
刑事ドラマでいうところの尾行ですね。
具体的には、エサでおびき寄せ、目印のついたお土産を持たせ、喜んで巣に戻るハチを追いかけまわして、巣まで案内してもらう、というなかなかアナログな方法です。
エサに来たクロスズメバチにお土産を持たせているところです。
お土産には白い目印がつけてあります。
ちっちゃいハチでしょう?
ハチはお土産が嬉しくて、しっかりつかんで離さずに巣に戻っていきます。
それを追いかけるわけですが、ご覧のとおりの山中のため足場に気をとられた瞬間に見失うことも度々。というか、だいたい見失います笑。
ここに入った!
何回ものチャレンジを繰り返し、巣穴が特定できたシーンです。
お土産を抱いたハチが巣穴にはいっていきます。
防護服を着て慎重に掘り出し、用意した木箱に移します。
巣はソフトボールぐらいの大きさでした。
今の季節では大きい方でしょうか。秋になるにつれバレーボール、バスケットボール、それ以上、と巨大になります。
採集した巣は、欲しい人がオークション的な手続きで手に入れ、どこか安全な場所で飼育することになります。
秋には品評会もおこなわれるそうです。
飼育している人は、家族や近隣の理解が得にくいので飼育する場所には気をつかうとの事。
ま、そりゃそうでしょうね。
いくら穏やかな性格とはいえ、ハチですからね。
イベントの参加者2〜30名。
大の大人がハチを追いかけまわす素晴らしいイベントでした。
害虫駆除業者なら当たり前ですが、シガ防虫のスズメバチ駆除は退治してから巣をとるので、今回のように生きたまま巣を掘り起こすことはまずありません。
そんな意味でも貴重な経験になりました。
幼い頃に夢中になった虫捕りの延長線上にある「遊び」。
ちょっとはまりそうです。